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健康ツーリズム研究会

温泉地と連携して「温泉マイスター」養成に動く

勝木 建一
財団法人北陸体力科学研究所 所長


1.はじめに(経過)

■ 国民の温泉に対するニーズが変化している中で、温泉地はこれまでの遊興・娯楽型から療養・保養型への転換が求められている。これに対して石川県の山代温泉は、顧客満足度をさらに高めるために6つの新CIを打ち出し、そのひとつに「求められる新しい人材の育成」として温泉マイスターの養成を打ち出していた。

■ そうした折に石川県中小企業団体中央会から、「平成16年度中小企業連携組織活性化事業」として支援を得られることとなり、それを利用して、温泉療養の専門家である温泉医を招き、山代温泉旅館共同組合の青年部や女性部など各部の代表者を集めて、療養・保養型の温泉地を目指す上で何が必要なのかを洗い出すとともに、活性化の具体的な方法についての検討会を開いた。

■ 検討会では「山代温泉の効能を浴室等に分かりやすく表示する」、「ウォーキングマップに消費エネルギー量を記載する」、「宿泊客に北体研のライフスタイル調査を実施してもらう」、「温泉マイスターを養成する」などの意見が出された。

■ こうした意見を背景に平成16年度事業として、温泉マイスター養成のためのセミナーを開催するとともに、セミナーの中で北体研オリジナルのライフスタイル調査を試行してみることとなった。セミナーは温泉マイスター養成プログラムと名付けて平成17年1月〜3月の間に計3回実施した。


2.温泉マイスター養成プログラム

■ 養成プログラムは1回につき2日の日程で実施し、2日目の終了時に修了証を授与した。
■ 実施日は平成17年1月25日〜26日、2月15日〜16日、3月8日〜9日の3回。
■ 養成プログラムの内容は、日本健康開発財団認定の温泉入浴指導員養成講習会を参考とした。主な内容は次のとおりである(資料1参照)。


資料1 平成16年度温泉マイスター養成プログラム日程







■ 山代温泉基礎知識;山代温泉の歴史、泉質、効能、観光・健康資源の特長などを紹介。

開湯1300年の山代温泉の歴史や泉質・効能についての講話。山代温泉は高僧・行基が湧水で傷を癒す烏を発見したことが開湯のきっかけとなった。 山代温泉の観光資源や地場産業などについてのDVD鑑賞。魯山人寓居跡、九谷焼窯跡、はづちを楽堂などを、映像を通して学んだ。 地元ボランティアガイドによる山代温泉の紹介。山代温泉を細部にわたって理解するとともに、説明の仕方を学んだ。


■ コミュニケーション法;温泉利用客との適切なコミュニケーション方法の実習。


心理相談員によるコミュニケーション法実習。カウンセリングマインドについて学んだ。 アイスブレーキング(初対面でもすぐに和める方法)。場の雰囲気をやわらげる手法で、さりげなく相手を褒める練習を行った。 オープンクエスチョン(お客様との会話を広げる方法)。答えが「はい」、「いいえ」で終わらず、会話が広がるような質問の練習を行った。


■ 健康学;健康づくりや生活習慣病に関する講話。ライフスタイル調査票記入。


健康運動指導士による健康学講話。健康の維持、増進方法や予防医学の経済効果について学んだ。 ライフスタイル調査票。栄養、運動、休養、飲酒、喫煙に関する調査を行い、項目ごとの評価で改善に繋ぐ。 ライフスタイル調査票記入。自分自身のライフスタイルを見直すきっかけとなる。


■ 温泉医学;温泉の定義や温泉入浴が身体に与える影響などについての講話。

温泉医による温泉医学講話。医学的な見地から、温泉の定義、入浴の身体的影響、疾患・症状別入浴法と効果などについて学んだ。スライドでは全国の温泉湧出量や高血圧症患者が温泉入浴により血圧の低下が認められた例などの紹介が行われた。ライフスタイル調査票。栄養、運動、休養、飲酒、喫煙に関する調査を行い、項目ごとの評価で改善に繋ぐ。 温泉マイスター用テキスト。温泉マイスターに必要な知識が書かれている。定価180円。


■ 温熱生理学;温泉地の環境が身体に与える影響などについての講話


温泉地の環境が身体に与える影響や転地効果などについて、またレジオネラ菌などの感染を防ぐ方法などについて学んだ。 温泉医による山代温泉の泉質、効果の確認を行った。山代温泉の主な泉質は単純温泉、塩化物泉、硫酸塩泉。


■ 救命・救急法;心肺蘇生法、止血法などの実習。


小松市消防本部の協力のもと、心肺蘇生法、止血法などについて学んだ。心肺蘇生法ではダミーを使用して、人口呼吸、心臓マッサージを行った。止血法では三角巾を使った止血法を学んだ。


■ 入浴プログラム;年齢、健康状態別入浴プログラムに関する講話とライフスタイル調査結果説明。


温泉医の処方した温泉療養指示書による入浴方法や入浴時のマナーやルールについて学んだ。入浴時に注意することは入浴までの過ごし方、かけ湯、半身浴、分割浴、入浴時間、退浴後の過ごし方などである。また前日に記入したライフスタイル調査の結果についての説明を受けた。


■ 温泉地療法(1);温泉地で行う陸上運動プログラム実習。


温泉地で行うストレッチング、ウォーキングなどの実施方法について実習を行った。ストレッチングは退浴後のリラクゼーションやウォーキングの準備体操などの場面を想定して行った。ウォーキングは温泉街の中で行う場合(散歩、散策程度)と近隣の観光スポットで行う場合の両方について、その実施方法を学んだ。


■ 温泉地療法(2);温泉地で行う水中運動プログラム実習。


温泉地のプールなどで行う水中運動の実施方法と浴槽内を想定した低強度エクササイズ(ゆっくりとした膝の曲げ伸ばしなど)について学んだ。


3.今後の計画
平成17年度は経費と内容を再度見直して継続開催の予定。


財団法人北陸体力科学研究所
http://www.sc-dynamic.com/hokutaiken/profile/profile.html



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