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セミナーレポート

浴場研究会セミナーin豊島園 
2004年12月2日(木)   於:豊島園(東京都練馬区)


(株)豊島園 庭の湯 総支配人  佐藤 博
(財)中央温泉研究所 所長  甘露寺泰雄
(株)エヌ・エス・ピイ 代表取締役社長  井戸 康正


■導入企業説明 「マイオックスの導入効果」
(株)豊島園 庭の湯 総支配人  佐藤 博

● 2003年6月オープンまで
・本業は遊園地「豊島園」の経営。井戸水を活用した屋外プールも併設。
・海外の温浴施設を視察。ドイツ、バーデンバーデンのカラカラテルメ・フリードリッヒテルメ、オーストリア、プレマリウム社によりサウナ等を視察する中で、「健康と美容をテーマに、緑豊かな快適な空間の中で、温泉やサウナの温浴効果を五感に訴え、癒しと安らぎを提供すること」をコンセプトに定めた。
・マイオックスを導入している川崎の市営プールを視察。ろ過室内が無臭であると同時に、水質の良さに驚愕する。安全面・衛生面については、水の肌触り・臭い・透明感に重きを置くこととし、発掘した温泉のPHが7.5、井戸水のPHが8.2というデータも背景に、計画当初より「マイオックス」の導入を検討し、決定した。

● オープン後
・バーデプール、ジャクジー、風呂の全ての浴槽にマイオックスを活用。残留塩素は毎時チェック。最初からマイオックスを導入しているので、使用前との比較等はできないが、条件は異なるものの屋外の遊園地プールとは明らかに透明度が違う。保健所の評価は極めて良好。お客様からも評判が良い。
・清掃時(浴槽内のぬめり除去・消臭・殺菌等)にもマイオックスの原液を薄めたものを活用している。
・原料の塩・・・150万t/年間  使用
・機械室はレストランの調理室の横にあるが、材料も塩なので何も問題がない。
・操作性も現在のところ問題はないが、万が一何かトラブルがあれば、根幹となる施設の為、営業が止まってしまうという危機感はある。

● 利用客のエピソード
・大宮から1年間通ってくるご夫婦。ご主人は高血圧。奥様は5年前に人工関節の手術。以後歩行には杖が必要不可欠。庭の湯の駐車場(通常なら徒歩1分)から徒歩10分かかるという申し出により、特別に無料駐車場の時間を延長してさしあげた経緯がある。最近ご主人は、水流マッサージのプール使用後に計測した血圧値を喜んで見せてくれる。
 奥様も杖が不要になった。来館が、お二人の生きがいとなっている。(高血圧の方に対し入館を制限することはない。安全面の表示をすることで自己管理をお願いしている)
・オープン時の入館対象年齢は4歳以上であったが、6ヵ月後「小学生以下の入館禁止」に踏み切った。その理由として、
@明らかに4歳以下のお子さん同伴で「4歳です」と主張し入館される心無い方がいた。
Aスタッフは休憩室で走り回る子供達に注意することに終始しており、本来業務(ゆっ
たりと過ごして頂くこと)に傾注すべきと考えた。
Bプールの水深は120cmあり、マッサージ効果を促すために足部・腰部に流水を設計し
ていたことを鑑み、安全面での配慮とした。
以上、遊園地の隣接施設であることを考えると心苦しい決定ではあったが、ご理解を頂き成り立っている。
 
● 各種データ
利用者    年 間   35万人
       土日祝  1,200人/日
       平 日   600人/日
商 圏    2.5kmで38万人の人口。 平日割引会員のデータでは、4万人が会員登録。比率は、6割が練馬区、4割が他区県。
現在も新規来館者の7割、50人/日の平日割引会員登録がある。
  最高利用頻度 135回/人/年間   (近隣10分の方)

売上高    年 間  12億5千万円
客単価    1 回  3,500円/人
※ 当初の計画では2,700円。予測より滞留時間が長い。
飲食とマッサージがプラス要因で、2004年11月に増設。
  最高個人総額 55万円/人/年間   (年56回利用者)
          ※ 足ツボと全身のマッサージを含んで毎回1万円の計算。
  


■基調講演 「浴用利用における衛生管理」
(財)中央温泉研究所 所長  甘露寺泰雄

1.着目すべきは「浴槽の汚れ」

本来は、「かけ流し」か「循環型」かの議論ではなく、「浴槽の汚れ」が問題である。
たとえ「かけ流し」であっても、浴槽に対し「どれだけの湯を入れるか」で決まる。

よって、「かけ流し>循環型」 という理論は成り立たない。

浴槽の汚れには何があるか   ・人間がもってくる汚れ(1回0.5g位)
               ・温泉と共に入る汚れ
               ・外から入る汚れ
・浴槽に付着している汚れ

浴槽水の汚れ は、「給湯」「入ってくる汚れ」「循環」によって決まる。

1960年代に循環型が採り入れられてきた。それまでの温泉はかけ流しばかりだった。公衆浴場の温泉水に繁殖した多量のバイ菌が問題となった時、温泉水をろ過するのかしないのかについて厚生省で大議論があった。その後、循環型が採用され、保健所の検査をクリアすることができた。
「かけ流し」は良いものだが絶対にきれいだとは断定できない。「かけ流し」であっても湯量が少なく、利用者が多ければ安全とはいえない。その点を気をつけなければならない。
利用者は入浴前に良く洗ってから入る事が大切であり、管理者は、貯湯槽・配管・浴槽・ろ過機などの清掃が大切である。残留塩素を管理し、レジオネラ菌を増殖させないようにすること。レジオネラ菌が口鼻から肺に入るとレジオネラ肺炎が発症し、治りにくい。免疫力の低い人には大変怖いものである。レジオネラ菌は3−4日は平気だが、1週間後から急に増える。レジオネラ菌を殺すのは難しい。

2.温泉水の循環ろ過について
ろ過機は昭和30年代から導入されてきた。多くの温泉では、ろ過後の水は水中に戻るようになっているが、ある開発者がライオンの口から戻り水を出したら大ヒット商品になった。以来、昭和50年代までろ過後の水は上から戻るようになった。しかしこれは、「新しい湯か」と利用者の誤解を招きやすく、「新しい湯」を装ってしまうことになるため好ましくない。2004年の温泉問題のベースになっている点でもある。
昭和23年の温泉法は「かけ流し」を前提に考えられた法律である。「循環」には薬事法が影響してくる。
・配管・ろ過機・浴槽の衛生管理をしなければならない。
・循環の頻度は、浴槽容積の1ターン/1時間程度は実施すべきである。
・温泉地の水質検査は、男女別に混んでいる時と空いている時で検査すべきである。
・本来、温泉に塩素や酸化剤は不向きである。硫黄泉と鉄泉は消滅してしまう。バイ菌をなくすために、塩素を入れねばならないとは言われていない。
・長野県で「温泉水を調査し、バイ菌の数値を記せ」との指示が出たと聞く。その日によって数値の変わるものを提出せよと言うのはおかしい。むしろ、「清掃回数をチェックせよ」のほうが良い。
・残留塩素のチェックにはDPT法とオルトトリジン法があるが、これは水道水には適合する方法であるが、有機物を含んだ温泉水には不適な方法である。よって、温泉水に0.2〜0.4等の基準値も意味がないといえる。自主的な管理・体制が必要である。
・そもそも「循環ろ過」は清掃しにくい設計になっている。無理をした設計は事故のもとである。斬新なデザインに走ることなく、資源の量や質、衛生管理などの機能に合わせた設計が望まれる。


■新世代の殺菌浄化装置「限りある水にやすらぎを求めて」
〜塩素を使わず塩と水だけを使用する
NSP・MIOX殺菌浄化装置の性能と特徴〜
(株)エヌ・エス・ピイ 代表取締役社長   井戸 康正

1.MIOXとは
 厚生労働省が認めている「電解次亜塩素酸生成装置」です。その殺菌力は、基本的に「オゾン・二酸化塩素・次亜塩素酸・過酸化水素」を含む混合酸化溶液をメインとしており、その殺菌力は塩素の2〜10倍であり、殺菌速度は3500倍と非常に強力です。
「混合酸化剤溶液」は、電力と水+塩を使用して生成し、プール・温浴での使用において、厚生労働省の定める「残留塩素管理の基準値」維持します。

2.開発経緯
 1980年にアメリカ合衆国 国防省の依頼により開発される。条件は、兵士が戦地で飲料水を飲む祭に、確実で強力な殺菌が迅速に行え、かつ一般的な原料・電力・取扱性が優れていることでした。開発したプロトタイプはアタッシュケースサイズで簡単に持ち歩く事が可能で、塩・水・電力(直流12V)の条件を満たすことにより、確実な殺菌が行える優れた装置でした。特許取得などを経て、1998年には同国防省より携帯用ペンシル型の開発依頼があり(補助金8億円)、2003年に開発されています。

3.導入の目的
・人の健康と安全な温泉、浴場水の殺菌
・温泉、浴場水の高度浄化
・生物膜(バイオフィルム)の除去
・安定したお湯の水質管理
・システム管理業務の軽減

4.性能
1)バイオフィルムの除去
   温浴循環配管内に長年付着しているバイオフィルムを除去することを、導入施設の使用前・使用後の映像で解説。
2)水道水殺菌によるトリハロメタンの低減
   浄化配水システムにおいては、バイオフィルムを除去する事でトリハロメタンの生成をより低減します。
3)アンモニアの脱窒素化
   塩素臭を発生させずに、遊離塩素を残留させます。
4)鉄・マンガン・硫化水素の低減
   酸化された鉄は、効率よくろ過フィルターにて除去できます。
5)マイクロフレッキュレーション効果
酸化作用および微細凝集効果により、プール等の透明度を向上させます。

5.操作性
原料が水と塩なので安心です。危険な薬品やガスの取扱はありません。
操作は、オゾンや二酸化塩素のように複雑でなく、簡単に取り扱えます。
運転はフルオートメーションです。



総輸入販売元:株式会社エヌ・エス・ピィ
http://www.miox-jp.com/
販売代理店 :株式会社中国技研
http://www2.ocn.ne.jp/~cg-ltd/



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