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旅行作家 竹村 節子氏がお薦めする
"癒しの温泉" シリーズ  第35回

竹村 節子 竹村 節子
温泉雑誌の編集者を経て旅行作家へ。現在は、(株)現代旅行研究所の専務取締役。旅行雑誌、婦人雑誌などへの執筆も多く、講演も行う。温泉に関する著書多数。全国の温泉地をつぶさに周り、各地とのネットワークも広い。



女性がゆっくりできるスペース
神通峡春日温泉(富山県)







 早くも紅葉が山の頂を染め始める新潟県妻有地区。黄色に実っていた棚田の稲も刈り取られて、今年も夕日がせつない冬を待つだけの季節になってきた。村内にブナの純林を残す松之山町でも、ひと仕事を終えた近在の農家の人々が三々五々、恒例の湯治にやって来る姿が見られるシーズンだ。







 細い渓流にそって湯町がのびる松之山温泉は800年の歴史を刻む越後の名湯の一つでもある。「自動車のほかは、人工的な音がほとんど聞かれない」と地元が自慢する通り、耳を澄まして聞こえてくるのは渓流の音、風の音、落ち湯の音、野鳥の声といった自然の音ばかり。黄葉のブナの林「美人林」を歩けば枯れ葉が靴の下で崩れる音も聞こえるほどの静かさだ。




 







 江戸時代の温泉番付で草津温泉、有馬温泉とともに「日本三大薬湯」に選ばれているほどの名湯。我が国屈指のホウ酸含有率を誇り、塩分が非常に濃い。太平洋戦争後の物資の無い頃には、温泉を煮詰めて、食用に塩を採取したというほどだ。宿の浴場に引かれている源泉を湯口で飲んでみると、口がひん曲がるほどしょっぱかった。







「10倍に薄めて飲んで下さい」との指示があるので、早速指示に従ってみたが、それでも塩辛さは相当のもの。 聞けば日本の一般の温泉のように火山性のそれではなく、化石水なのだそうだ。海底の水などが地殻変動によって地中に封じ込められ、石油と同様に長い年月をかけて化石化したのだという。匂いにも石油臭さが残っている。しかしこの温泉、水虫やインキン、タムシといった癬箘類による皮膚病には絶大の効果があるという。地元の男たちも松之山には水虫にかかっているやつはいない」と胸を張る。源泉は温泉街を出外れた子安観音下と白川屋旅館の裏手に湧く2本の源泉を混合して17軒の宿と共同浴場・鷹ノ湯が利用している。泉質は含ホウ酸塩泉。効能としては冬でも湯ざめをしないほどだから温めればよい神経痛、リウマチ、運動麻痺などにも効果を示すほか、飲用すれば慢性便秘や胃腸病に効果がある。都塵を払うには手ごろの秘湯だ。




所在地/新潟県東頸城郡松之山町大字湯本
交通/ほくほく線松代駅から松之山温泉行きバス15分の終点下車
車/関越自動車道塩沢石打ICより国道353号経由、または越後川口ICから国道171号253号利用で約1時間。また北陸自動車道上越ICからも同じく1時間
宿/鄙の宿千歳他17軒。1泊2食8000円くらいから
問い合わせ/松之山町観光協会
tel0559-6-2221




 
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