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旅行作家 竹村 節子氏がお薦めする
"癒しの温泉" シリーズ  第30回

竹村 節子 竹村 節子
温泉雑誌の編集者を経て旅行作家へ。現在は、(株)現代旅行研究所の専務取締役。旅行雑誌、婦人雑誌などへの執筆も多く、講演も行う。温泉に関する著書多数。全国の温泉地をつぶさに周り、各地とのネットワークも広い。



駅前に「手足の湯」完成
天橋立温泉(京都府)






 日本三景といえば仙台郊外の多島美で知られる松島、広島の瀬戸内海に浮かぶ宮島、そして京都府北端の宮津湾に面した天橋立ということになる。特に天橋立は宮津湾を二つに割るようにして江尻から文珠へむかって3.6キロ伸びた砂嘴に、緑濃い老松が生い茂る風景は「天上へのかけはし」のたとえもうなずける奇勝である。
 この天橋立に温泉が湧いたのが平成11年秋。1500mを掘削して得た、待望のナトリウム-炭酸水素塩泉(重曹泉)である。入浴したとたんにつるつるする美肌の温泉で、現在9軒の宿に温泉が入っている。温泉が湧いたということで客の入り込みも年々上昇というから同慶の至りだ。





 しかし、それで満足しなしなかったのが天橋立温泉。一般の住民も自由に入れる温泉浴場が欲しい。宿泊しないワンディートリップの旅行客にも温泉を体験して欲しい。そんな発想からスタートした外湯づくり。資金調達、住民相互のコンセンサス、建物の設計施行etcと、組合を作っての奮闘が続いた。




 平成15年3月20日、天橋立駅前に待望の「智恵の湯」が誕生。入口に掛けてある看板は「智恩寺管長の揮毫をいただきました」組合長の山本大八郎氏が胸を張る。古来、文殊菩薩を祀る智恩寺は天橋立の中心なのだ。「一浴智恵が授かり、入試の難関もラクラク突破、といくといいんですがねぇ」

 







 しかしそれもアリかもしれない。規模は小さいが荒土壁に材木をふんだんに使った自然志向の建物だから、ストレス解消には悪いはずはない。休憩所の天井は高く梁と土壁の作りだす空間が田舎へ帰ったような安堵感を抱かせる。喫煙者は外のテラスで・・・というのも現代的。トイレの廊下も正面に壁が無く、手水鉢が外に置かれているなど粋な趣向だ。そういってほめると「寒いってクレームが来ました」と正直な山本氏。でもいいじゃん。どこにでもある画一化された建物と違って、ここならではの工夫がたのしいもの。






 もう一つの工夫が「手足湯」だ。二つある浴場を一日交替で男女を入れ替えているが、一方には露天風呂を、もう一方には「手足湯」を設けた。別棟の湯小屋の中央に直径1mほどの信楽焼の鉢を据えて湯を溢れさせ、足下の湯槽に落としてある。鉢の方へは腕を入れ、足下の湯槽には両足を浸して座り、汗の出るまで30分〜40分入浴をする長時間浴が可能で、心臓に負担がかからないので、身体が芯から温まり発汗作用が促進されて減量効果も期待できるという。残念ながら出来たての湯小屋は3月の寒さで室温が低く温まるほど入っていられなかった。暖かい季節ともなれば効果を発揮することだろう。しかし面白い工夫で、一度は体験してみることをすすめる。



住所/京都府宮津市字文珠640-73

交通/北近畿タンゴ鉄道天橋立駅下車すぐ

車/京都縦貫道宮津・天橋立インターから国道178号経由で約4.5キロ

施設/智恵の湯 0772-22-1515
第1・3水曜休み 10時〜22時
但し受付は21時まで
600円

宿/文珠荘、ワインの宿・千歳、対橋楼等9軒に温泉が入っている。 1泊1万円位から

問い合わせ/天橋立観光協会0772-22-2300
 
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